kritaのベジェ曲線を使いこなしたい

前に書いた記事「kritaでsvg形式のロゴを作ってみる」では、ベクター画像のロゴを作りました。ベクター画像は全てが数式で描かれているので、画像を拡大縮小しても劣化しません。作成したsvg形式のロゴをテキストエディタで開いてみると、計算に必要な座標がたくさん確認できます。

kritaでsvg形式のロゴを作ってみる

kritaでブログのタイトルロゴを作成し、svgという形式のベクター画像で保存する方法をまとめした。画像をトリミングすると、svgエクスポートしたときうまく保存されない可能性があるので注意が必要です。完成した画像は、cssに埋め込んで使うためにbase64にエンコードしました。完成したタイトルロゴは、今画面の上のほうに表示されているものになります。

kritaでは以下のツール(×がついていないもの)を使ってベクター画像を作ります。今回はその中のベジエ曲線ツールを使ってイラストを描く方法を、前に作成したロゴを例にまとめました。

準備

レイヤーの一覧にある+ボタンを押してbackgroundレイヤーの上に通常のレイヤー(ペイントレイヤー)を追加します。このレイヤーに下書きをしました。

ベクター画像のイラストはベクターレイヤーに作成する必要があるのでレイヤーの一覧にある▼ボタンをクリックします。プルダウンメニューが開くので、ベクターレイヤーを選択して追加します。
このレイヤーにベジエ曲線ツールで清書します。

ベジエ曲線の描き方

さっそく下書きした羊のイラストをなぞっていきます。
下書きは、なぞりやすいように線の色を水色にして薄くしてあります。やり方は以下の記事を参考にしてください。

kritaで下書きの色を変更してペン入れをする

イラストの下書きの線を水色にして、清書しやすいようにする方法です。

ベジエ曲線ツールを選択して、描き始める位置(羊のモコモコしたところの凹み)でクリックしたままドラッグします。すると、クリックしたところからニョキっと点線が生えてきます。

このニョキっと生えてきた点線はハンドルといって、曲線の方向と曲がり具合を調整するものです。曲線を描くときには、ドラッグしてこのハンドルを出す必要があります。(なので、ドラッグしないと直線が引けます)

この点線が羊のモコッっとした形に接するように少しドラッグし、離します。すると描きはじめたところに◇ のノードが追加されてそこから曲線が伸びます。このまま羊のモコモコした形の次の凹みをクリックして先程と同じようにドラッグします。

今度はクリックしたところを中心にニョキっと2本のハンドルがはえてきます。先程は描き始めだったので1本しか伸びてなかったのですが、同じものです。ハンドルを操作して、曲線を調整します。ハンドルを引っ張れば引っ張るほど、弓がしなるように曲線も急になります。

ここではまだドラッグしたまま離さず、そのままaltキーを押します。
すると、片方のハンドルだけが動く状態になります。こうすると、ここの位置から切り返して角を描くことができます。

描きはじめたときと同じように、次のモコッとした形にハンドルの線が接するように少しドラッグし、altキーは押したままドラッグしていたのを離します。その後にaltキーを離します。

線は後で細かく修正していくので、ここではあまり神経質にならずにざっくりと下書きをなぞっています。
やり直したければ、右クリック(ポップアップパレットが出るボタン)で一個前にクリックした点に戻れます。

引き続き同じ要領で、モコモコした形の凹んだところをクリックしてドラッグし、曲線を作ったらaltキーを押して角を作って……と描いていきます。

最後までなぞると始点に戻ってくるので、その点をクリックすれば描画が終了します。開始位置に戻ってこずに終了する場合は、shiftキーを押したまま適当な場所でクリックすると終われます。

描いたパスの編集

ベジエ曲線で作成したパスをベクター図形編集ツールを使って、細かく修正していきます。
先程描いたパスをクリックすると、線を描くのにハンドルを操作していた位置に◇が表示されます。

◇と◇を繋ぐ線をクリックするとポインタが指マークに変わり、そのままドラッグして線を整形できます。一緒に表示されるハンドルも使って下書きに線を合わせていきます。

形の整形が終わったら線の太さや種類を変えたいので、ベクター図形ツール を選択してパスを選択します。

ツールオプションの縁取りタブを開き、「線の太さ」で線の太さを変更します。横にある…のアイコンを押すと角の形を選択できるプルダウンメニューが表示されるので、角の見た目を整えました。
また、塗りつぶしタブの「単色塗りつぶし」でモコモコの形に水色で着色しました。

イラストが描けたら全部のパスを選択して右クリックしグループ化しておくと、ひとまとめに扱えるので楽ちんです。

パスを操作する各部分の名前

ここで、◇やそれを繋ぐ線などパスを構成している各部分に名前が付いているのでまとめておきます。知っておくと、ベクター図形編集ツールを選択したときのツールオプションを使う時にわかりやすいです。

アンカーポイントの種類

アンカーポイントについてもまとめておきます。アンカーポイントには3タイプあって、形で見分けがつきます。今回モコモコを描くために使ったのは、角が描ける角アンカーポイントでした。

角アンカーポイントそれぞれ別々に動くハンドルを使って角とそこから伸びる曲線を操作します。
曲線アンカーポイントハンドルはお互いに反対方向に向かって伸びて長さはそれぞれ違います。各ハンドルに応じた曲線と曲線をスムーズにつなぎます。
対称アンカーポイントハンドルはお互いに反対方向に向かって伸びていて長さも同じで、同じ曲がり具合いの曲線同士をスムーズにつなぎます。

パスの編集でできないこと

kritaは基本的にラスター画像の作成をメインにしているので、ベクター画像の作成は苦手です。パスに後から線の強弱をつけたり、クレヨンや鉛筆といったブラシの質感を反映した線を引いたりはできないようです。手で描いたような、例えば漫画のような自然な線画をベクターで作成することはできません。

クリスタなどのツールはさすが有料ですね🤗

文字のパス化(おまけ)

svgテキストツールで入力した文字をパスとして扱いたい場合は、ベクター図形編集ツールを選択してツールオプションに出てくる「Convert to Path」を使うとパスに変換できます。


参考

Vector Graphics - Krita manual version4.2.0

Shape Edit Tool - Krita manual version4.2.0