水色で下書きが描いてあるアナログの線画を抽出してみました。
下書きを消す方法はいくつかありますが、kritaの使い方で私がいつも参考にしているDavidさんのやり方が、青のチャンネルを使った方法でシンプルで合理的です。
英語ですが図の通りに進めていけばできるので是非やってみてください。
今回私のほうは、近似色領域選択ツールを使って下書きを消して線画を抽出してみました。
スキャナがなくてもスマホでなんとかする方法も考えてみました👇
スマホで撮影した線画を抽出します。
使用した画材や作業環境など
画材 | マンガ原稿用紙 |
---|---|
PILOT 証券用インク | |
サジペン、丸ペン | |
OS | fedora30 |
複合機 | Canon MP620 |
スキャンニングソフト | シンプルスキャン3.32.3.1 |
スキャンする
スキャナーにはCanon MP620を、スキャナーソフトはfedoraに入っているシンプルスキャンを利用しました。
シンプルスキャンを立ち上げて、窓の右上にある三本線のアイコンをクリックします。プルダウンメニューが開くので、そこから設定を選んで読み込み品質を調整します。
コントラスト強めで読み込んでみました。
マンガ原稿用紙に描いたので水色の断ち切り線も一緒にスキャンされています。
このような目安となる線や下書きにどうして水色が使われているのかというと、印刷に出にくかったり画像処理で消しやすかったりで、消しゴムをかける作業をはぶけるからです。
水色の線の削除
近似色領域選択ツールで水色の下書きの線をクリックすると、同じような色のところが選択範囲となります。ツールオプションの「あいまいさ」の数値を変更して、しっかり水色の線だけ認識するように調整しました。この原稿の場合だと3が丁度よかったです。
次にカラーパレットから白を選択して、上のメニューで 編集>描画色で塗りつぶす を選択して塗りつぶします。水色の線がだいたい消えました。
上の画像のように、細かく見ると線画のほうにもポツポツと領域が選択されていますが、下書きと同じ色として認識されている部分で見た目に大した影響はなさそうなので気にしていません。
線画のグレースケール化
上のメニューから フィルタ>調整>脱色 とたどって 輝度(ITU-R BT.709)を選択し、線画をグレースケール化します。
通常のグレースケール化だとレイヤーは色情報が持てなくなってしまうので、後からこのレイヤーに着色しようとしても白黒の濃淡でしか塗れませんが、「脱色」でグレースケール化した場合だとその後も引き続き色を使って絵に加筆できます。
小さなゴミを除去する
ざっくりとクリーニングします。
レベル補正を開いて、ヒストグラムに表示されている各スライダーを調節し、小さなゴミや紙に付いた薄い汚れを消します。
各スライダーの役割を下にまとめました。
黒のスライダー | スライダーで示した値以下の画素が全部黒になる。 |
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白のスライダー | スライダーで示した値以上の画素が全部白になる。 |
灰色のスライダー | 左に動かすと全体的に白っぽく、右動かすと黒っぽくなる。 |
白のスライダーで細かなゴミを飛ばしています。
レベル補正のウィンドウにはグラフが表示されていて、この画像の場合だと右側のほうに山がぽこっとできています。
このグラフは、どの濃さの画素がどのくらいあるのかを表していています。グラフには濃淡を表している帯が横軸に据えてあるので、山ができているあたりを見てみると薄い灰色の画素が多いことがわかります。白のスライダーを山の左に動かしていくと、このスライダーより右側にある濃淡の画素は全部白くなります。先程の工程で少し残ってしまった水色の下書きが消えるので、山の正体は下書きだということがわかりました。
灰色のスライダーを使って、線画を少しクッキリさせます。あまり右に動かすと線がクッキリしすぎて手書きの風合いのようなものが潰れてしまうので程々にしました。
線画の抽出と修正
kritaのメニューから フィルタ>色>色をアルファに を選択して、線画を抽出します。
開いたウィンドウの「色選択」のところに表示されている色が、透明にする色になります。
この原稿だとデフォルトの状態で紙の白い部分が透明になることがプレビューで確認できたので、このままOKを押して線画を抽出しました。紙の白い部分が上手く透明にならならいときは、「色選択」のところに表示されている色をクリックして、そこに表示されるスポイトツールを使って画像から透明にしたい色を直接取ってきてみてください。
抽出できたら見やすいように線画のレイヤーの下に白で塗りつぶしたレイヤーを追加して、線画に残っているゴミを消しゴムで消したり、線を修正したりすれば出来上がりです!
線画の色の変更
HSV/HSL 補正を使って線画の色を変更する方法と、レイヤーをロックして変更する方法があります。
メニューから フィルタ>調整>HSV 補正 を選択します。開いたウィンドウで、「タイプ」の項目で色相/彩度/輝度 を選択します。「色付け」のチェックボックスをチェックして彩度と色相のスライダーを動かすと線画の色が変更できます。
レイヤーをロックする方法では、ブラシを使って部分的に線の色を変更するといったことが出来ます。レイヤーの一覧で、線画のレイヤーの一番右側をクリックして鍵アイコンを有効にしてください。こうすると既に描画してある部分にしか書き込みができなくなるので、ブラシなどで線画に着色できるようになります。
参考
色んなグレースケールの原理についてグレースケール画像のうんちく - Qiita
ヒストグラムの説明がわかりやすい
「トーンカーブ」で自由自在に色調補正①|Photoshop色調補正ゼミナール|Shuffle by COMMERCIAL PHOTO
画像をモノクロにするには色んなやり方があるということを教えてくれる
第9回 モノクロームの処理基礎篇 |レタッチの基本技|Shuffle by COMMERCIAL PHOTO
チャンネルを使ったごみ取りについて
スキャニングを極める(仮)