アナログで描くように、パレットで色を混ぜ合わせて新しい色を作ったり、塗りながら色を混ぜるにはどうしたらいいんだろう。
今回はkritaのColor Sampler Tool(スポイトのツール)を使って色を混ぜる方法を見ていきたいと思います。また、kritaの公式マニュアルではこのツールと一緒に絵画で使われる3つの混色技法について紹介しています。実際にkritaで試してみながらこちらもまとめてみました。
冒頭に載せたバラは、Color Sampler Toolと混色技法の1つ❝グレイジング❞を利用して描いてみたものです。画像の下の方で、Color Sampler Toolを使って赤と黄色からオレンジを作ったり、青と黄色で緑を作ったりしています。そして、作った色を何度も薄く重ね塗りしています。グレイジングの詳細は後でまた取り上げます。
いつもよりアナログっぽさもあって色の深みが出せたように感じますね😊
実際に技法を使って描いてみると、事前に考えておくことが多くて思っている以上に対象を科学的かつ論理的に捉える必要がありました。普段何気なく見ているイラストにも、多くの技法が効果的によく考えらて使われているのですね。
プロの人が何故プロなのか、その理由のひとつがわかった気がします😳
Color Sampler Toolで簡単に混色する
スポイトのアイコン、 ❝Color Sampler Tool❞ を使うと選択した色同士で混色できます。このツールを選択したら、まず「ツールのオプション」を見てみます。
※ もし、「ツールのオプション」が表示されていない場合は、上のメニューから 設定>ドッキングパネル>ツールのオプション とたどって、チェックを付けます
ツールのオプションで「Blend」という項目を確認します。ここの数値は、今選択している色に対してスポイトを使って選択した色をどの程度混ぜるのかを表しています。今回は試しに50%に設定して、色を1対1で混ぜるように設定しました。因みに100%に設定すると、混色せずにスポイトで採取した色をそのまま置き換えます。
では実際に混色してみます。黄色と青を混ぜて、緑を作ってみます。
このままColor Sampler Toolを使って混色してもいいのですが、実際に混色するときは色を塗りながらだと思うので、ブラシを選択した状態でColor Sampler Toolを利用してみます。
ブラシを選択してキャンバスにレモンイエローを塗り、次にセルリアンブルーを塗りました。
ブラシを選択したままCtrlキーを押すとColor Sampler Toolになるので、そのままレモンイエローをクリックします。
緑色になりました。
グレイジング
ここからは技法の紹介になります。
透明度の高い絵の具の塗り重ねで混色していく方法をグレイジングというそうです。
kritaのマニュアルにデジタルペイントでのやり方が紹介されていたので見様見真似で描いてみたのが冒頭のバラです。
kritaのマニュアルでは意図がよくわからない部分があったので本や動画などでちょっと勉強してみたんですが、結局よくわかりませんでした😥デジタルとアナログで違うところもあるし、仕方ないかな。絵をしっかり習ってる人ならマニュアルの意図が汲めるのかもしれないですね。まぁ不透明度を下げて塗り重ねで混色できてればオッケーでしょ😅と、素人は解釈しました。
そんなわけで、デジタルでの重ね塗りでぱっと思い付く方法が2つあったので花と葉の部分でやり方を変えて塗ってみました。
花の方はブラシの不透明度を下げて重ね塗りする方法です。全てのレイヤーの不透明度は100%、下の色が透ける程度にブラシの不透明度を低くして、重ね塗りによる混色ができるようにしました。使用したブラシはb)Basic-1、 b)Basic-5 Size、 b)Basic-3 Flow、です。
ブラシは状況に応じて不透明度を変更したり、流量を変更して塗りました。特になめらかなグラデーションを塗りたいときは、Ctrl+右クリックで周辺の色を取りつつ、色の堺を流量を抑えたブラシで撫でるのが良かったです。
絵の下の方で重ね塗りに使う色を事前にColor Sampler Toolで作ってあります。
葉の方はレイヤーの不透明度を下げて重ね塗りする方法です。ベースの色を塗るレイヤーだけ不透明度を100%にして、色を重ねるためのレイヤーは下の色が透ける程度に不透明度を低くして塗っています。ベースの色を塗ってあるレイヤーは不透明度100%にしないと、アルファ継承して塗り重ねたときに色が想定より薄くなってしまって困りました。不透明度も引き継いでしまうからだと思われます。
はみ出さずに着色したい!kritaのレイヤーとアルファ継承について理解する
イラストで肌や服などの影を着色するときに、その範囲からはみ出さずに塗る簡単な方法は?レイヤーのアルファ継承を使ってみます。
色々書いたのですが、重ね塗りの混色は他にもやり方は色々あると思うし、自分がやりやすくて効果的な方法で描ければ良いと思います。
スマッジング
描いたところをティッシュや綿棒で擦ったり、ポンポン叩いてぼかしたりすることをスマッジングというようです。
スマッジングで混色するには、kritaではスマッジング専用のブラシを使うことになります。イメージ的には指先ツールのような動作をするブラシです。スマッジングできるブラシで試しにリンゴを描いてみました。
ブラシ名に”Wet”と付いているものは大体スマッジングできるブラシです。
選択したブラシがスマッジングブラシかどうかを確認するには、上のメニューからブラシエディターアイコンをクリックして、ブラシエディターを開きます。ブラシエディターで、選択しているブラシの名前の下に「混色エンジン」と表示されていれば、スマッジブラシです。
スカンブリング
日本語だと❝すりぼかし❞と言います。その言葉の通り、筆を擦り付けてぼかしながら塗る方法です。このとき半透明/不透明の絵の具を使って下地の色が見えるように塗ります。
kritaでやる場合は、ザラザラしたような質感やスクリーントーンのようなパターンが設定されているブラシを使って塗るとスカンブリングの表現ができるようです。
実際に描いてみたのが上の絵です。トルコランプの光をスカンブリングで表現してみました。ランプの光が表面のタイルを通して出てくるので、明るさはまばらになります。その様子が表現できていたらいいんだけど😅
このときに使ったブラシは、y)Texture Bigです。
その他のこと
実際に技法を使って絵を描いてみると、綺麗な混色方法の考え方についても知りたくなってきます。そこで、こちらの本も参考にしてみました。
最後の章の実践編の図解は、本の前半で説明されている基礎を自分の作品にどう取り入れたら良いのかをイメージできる構成になっていて良かったです。ちょっと参考にしただけなのに、明らかに絵の感じがワンランクアップしました。とてもいい本でした。
参考
- Mixing Color|Krita Manual 5.0.0
- 絵画技法を解説 - 古典から現代まで
- グラッシ」の詳細情報|徳島県立近代美術館
- Color Smudge Brush Engine|Krita Manual 5.0.0
- What is Smudging in Art | Smudging Drawing|Best ways to blend Graphite |Graphite blending techniques
- 油絵の技法 その3 スカンブリング